ABBとETMが提携、データセンター冷却向けダイレクトドライブモータを開発へ
公開日:2026年10月25日

3行解説
- ABBがETMと提携し、データセンター冷却向けモータを開発・商業化します。
- ETMのTFM技術を使い、低速で高トルクを出すダイレクトドライブ構造が特徴です。
- 冷却設備の省エネ化、保守負荷の軽減、騒音抑制を狙っています。
ニュースの概要
ABBは2026年10月23日、Graco Inc.の子会社であるElectric Torque Machines(ETM)との協力関係を拡大し、ETMの特許取得済みTransverse Flux Motor(TFM)技術を活用したデータセンター冷却向けモータの開発・商業化を進めると発表しました。対象は大型冷却ファン、ポンプ、冷却塔などです。TFMモータはABBブランドとして市場投入される予定で、ABBは可変速ドライブ(VSD)や既存のモータ群、液冷技術と組み合わせて提案を広げる考えです。
何が新しいのか
今回の新しさは、データセンター冷却の用途に対して、低速域で高いトルクを出せるTFM技術を前面に出している点です。一般に冷却設備は、ファンやポンプを安定して回し続けることが重要です。ABBは、ダイレクトドライブ構造によって機械構造の複雑さやエネルギー変換ロスを減らし、騒音や保守負担の低減につなげると説明しています。さらに、VSDと組み合わせることで、設備ごとの条件に合わせた制御をしやすくする狙いがあります。
低速高トルクのモータを、データセンター冷却の主要機器に使う構図です。
グリットアーツ編集部の分析
注目すべきは、ABBが「高効率モータ」だけでなく、低高調波ドライブや液冷技術まで含めて冷却ポートフォリオを広げている点です。つまり、単体機器の置き換えではなく、冷却系全体の最適化を狙っていると読めます。データセンターでは、冷却は止めにくい設備です。だからこそ、効率だけでなく、保守のしやすさや連続運転時の安定性が導入判断の中心になります。今回の提携は、その判断軸に直接関わるニュースです。
日本の現場で考えると
日本のデータセンターでは、既存のファン、ポンプ、冷却塔、制御盤がすでに別メーカーで構成されていることが多く、モータだけを差し替えても効果が出るとは限りません。特に、VSDとの組み合わせや既設制御との相性、停止を伴う切り替え手順が重要です。高密度化したAI向け設備では冷却負荷が上がるため、低速高トルクの特性は相性がよい可能性があります。一方で、既存設備の更新周期が長い現場では、保守部材や運用手順の標準化まで含めて検討する必要があります。
導入・検討時に確認したいこと
- 既存のファン、ポンプ、冷却塔に必要なトルクと回転数レンジに合うか。
- VSDや制御盤との接続方法、制御ロジックの変更範囲はどこまでか。
- 更新時にどの程度の停止時間が必要か、段階的な切り替えが可能か。
- 保守部材、点検周期、故障時の交換手順が既存設備とどう変わるか。
- 騒音、消費電力、TCOの改善をどの条件で評価するのか。
現時点で分かっていないこと
今回の発表では、具体的な製品型番、性能値、提供時期、価格は示されていません。また、既存の冷却設備に対する互換性や、どの規模のデータセンターから適用しやすいかも不明です。日本市場での供給体制や保守体制についても、本文からは確認できません。
冷却設備の更新は、モータ単体ではなく制御や保守体制まで含めて考える必要があります。既存設備との相性や更新時の論点整理が必要なら、インフラ運用の観点で一緒に確認できます。
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出典: PR TIMES
