サイバーエージェント、生成クリエイティブ評価基盤を高速化 縦画面広告のシーン分割も開発

公開日:2026年10月27日

3行解説

  • サイバーエージェントが、社内の生成クリエイティブ評価基盤を見直し、主要エンドポイントのp50を最大128倍高速化しました。
  • 縦画面広告向けに、シーン境界を自動検出するアプリを新規開発し、人間評価とCoding Agentで改善を回しました。
  • 分散トレース、RLS、認証通信、CI高速化など、AI基盤を実運用で回すための具体策が示されています。

ニュースの概要

サイバーエージェントの開発ブログで、2026年10月26日公開の記事として、就業型インターンシップ「CA Tech JOB」に参加した早川仁来氏が2つの技術ミッションを報告しました。1つ目は、極AI基盤チーム内で使う生成クリエイティブ評価基盤の性能改善とアーキテクチャ刷新です。2つ目は、縦画面広告のクリエイティブを対象にしたシーン分割アプリの新規開発です。記事では、OpenTelemetryとCloud Traceによる分散トレース整備、PostgreSQL RLSの見直し、外部IdPへの同期通信の排除、CIとプレビュー環境の高速化など、実装の具体策が紹介されています。

何が新しいのか

新しさは、AIを使った開発そのものではなく、AI Nativeな開発プロセスを前提に、評価基盤と動画解析アプリを短期間で実用レベルに持っていった点にあります。評価基盤では、推測で直すのではなく分散トレースで原因を切り分け、主要エンドポイントのp50レイテンシを最大128倍高速化しました。さらに、縦画面広告では単純なフレーム差分では誤検出が多いという前提に対し、人間の判定を評価データとして使い、Coding Agentが自律的に改善する流れを作っています。

縦画面広告の分割改善の流れ
動画を確認
→
人が判定
→
Agentが修正
→
再テスト

レビュー結果をそのまま改善入力にし、誤検知を減らす循環を作っています。

グリットアーツ編集部の分析

このニュースで実務上重要なのは、性能改善の対象がアプリ本体だけでなく、認証やDB、CIまで広がっていることです。特に、外部IdPへの同期通信をやめてローカル署名検証へ移行した点は、セキュリティ要件を保ちながらレイテンシを削る設計判断として参考になります。一方で、RLSのInitPlan化やCloud Runの専用プレビュー環境など、効果は高いものの、既存システムの構成次第で導入難易度は変わります。AI基盤の投資対効果を見るときは、モデル精度だけでなく、待ち時間と運用負荷の削減まで含めて評価すべきだといえます。

日本の現場で考えると

日本企業のAI基盤や社内評価基盤では、権限分離、監査、失効管理、検証環境の分離をどう組み合わせるかが重要です。今回のようにマルチテナント分離でRLSを使う場合、DBの実行計画を見ないまま運用すると、データ量の増加で急に遅くなる可能性があります。また、外部IdPへの毎回の問い合わせは、社内ネットワークや外部接続の制約がある環境ではボトルネックになりやすいです。縦画面広告のシーン分割は、短尺動画やテロップ主体の素材には向きますが、最終判断を完全自動化するより、人手レビューを残した運用のほうが現実的です。

導入・検討時に確認したいこと

  • 分散トレースで、どの粒度まで処理時間を追えるか。
  • RLSや認証処理が、データ量増加時にどこまで遅くなるか。
  • 外部IdP連携をやめた場合、失効管理をどこで担保するか。
  • プレビュー環境やCIを、PR単位でどこまで自動化できるか。
  • 縦画面広告のような高速編集素材で、誤検知をどこまで許容するか。

現時点で分かっていないこと

この情報だけでは、評価基盤の具体的な構成、対象データ量、運用人数は分かりません。また、128倍高速化がどの条件で再現するのか、縦画面広告の分割精度がどの指標で評価されたのかも明示されていません。導入判断には、既存環境との互換性や、同じ改善が自社でも再現できるかの確認が必要です。

AI基盤や社内評価基盤では、速さだけでなく計測・権限・検証環境の設計が成果を左右します。自社の運用に当てはめて整理したい場合は、要件の切り分けから見直すのが近道です。

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出典: CyberAgent Developers Blog