日立GLS、空冷式チラー「AIXROSS」受注開始へ DCの省エネ・復旧性を強化

日立GLS、空冷式チラー「AIXROSS」受注開始へ DCの省エネ・復旧性を強化

公開日:2026年10月10日

日立GLS、空冷式チラー「AIXROSS」受注開始へ DCの省エネ・復旧性を強化

3行解説

  • 日立GLSがデータセンター向け空冷式チラー「AIXROSS」を2027年4月に受注開始します。
  • 高外気温時の冷却能力とCOP向上、Hybridタイプの自動切替えが特徴です。
  • 停電復帰の高速化、UPS接続、モジュール構成による冗長性も打ち出しています。

ニュースの概要

日立グローバルライフソリューションズは2026年10月9日、データセンター向け空冷式チラーユニット「AIXROSS」を2027年4月より受注開始すると発表しました。生成AIの普及でサーバーの高密度化・高発熱化が進む中、高い冷却能力と省エネルギー性、水使用量の低減、短工期化をうたっています。あわせて、空調IoTソリューション「exiida」による遠隔監視や、今後の故障予知・省エネ制御への対応も示しました。

何が新しいのか

今回の新しさは、単に空冷式チラーを出すことではなく、データセンター運用で問題になりやすい論点をまとめて扱っている点です。新設計の冷凍サイクルにより、高外気温時(DB40℃)でも冷却能力とCOPの向上をめざし、Hybridタイプでは圧縮機サイクルと冷媒ポンプサイクルを自動で切り替える計画です。さらに、下吸込み対応で設置自由度を上げ、配管・ポンプ・タンクを含むモジュール化提案で短工期化も狙っています。

AIXROSSで想定している運用の流れ
高外気温でも冷却
→
負荷に応じて切替
→
停電後も早期復旧

冷却効率だけでなく、部分負荷運転や復旧性まで含めて設計している点が特徴です。

グリットアーツ編集部の分析

注目すべきは、受電容量や非常用発電機の容量低減が可能と明記している点です。これは冷却設備の省エネが、そのまま電源設備の設計に波及することを意味します。つまり、チラー単体の効率だけでなく、受電・発電・UPSまで含めた設備計画を見直せる可能性があります。一方で、仕様・性能は計画値であり変更の可能性があるため、導入判断はカタログ値だけでは足りません。

また、停電復帰後の高速起動モードや、チラー内蔵冷水ポンプを外部UPS電源に接続できる点は、可用性を重視するDCでは実務上の価値が大きいです。ただし、UPS接続は現地対応であり、実際の復旧時間は既存の電源構成や制御方式に左右されるとみられます。モジュール構成による冗長性も、初期から中期の低負荷運用で有効ですが、台数制御の考え方を既存設計に合わせて詰める必要があります。

日本の現場で考えると

日本のデータセンターでは、敷地や機械室の余裕が限られることが多く、下吸込み対応はレイアウト面で効きやすい要素です。特に既存施設の増設や更新では、搬入経路、据付スペース、既設配管との接続が工期を左右します。AIXROSSは周辺設備を含めたモジュール化提案を前提にしているため、設計と施工を一体で進めやすい一方、他社品を組み合わせる場合は責任分界を明確にする必要があります。

また、水使用量を抑えたい施設や、水資源制約を意識する地域では空冷式の価値が出やすいです。ただし、空冷式は外気条件の影響を受けやすいため、夏季の高外気温時にどこまで性能を維持できるかが重要です。生成AI向けGPUサーバーのように発熱が大きい環境では、冷却能力だけでなく、部分負荷時の安定性や停電後の復旧手順まで含めて確認したいところです。

導入・検討時に確認したいこと

冷却設備の更新をIT機器の導入・増設につなげる際は、設備側の性能確認と、サーバ側の稼働条件を照合する必要があります。以下は、グリットアーツ編集部が導入検討用に整理した確認項目です。

  1. 設備の冷却能力と、ラックごとの発熱を照合する
    設備メーカー・施設管理者に、設置地域の外気条件、冷水の温度・流量、部分負荷時の性能を確認します。IT側ではサーバの型番・台数、実負荷時の消費電力、ラック配置、増設計画を整理し、チラー全体の能力だけで受入可否を判断しないようにします。
  2. 停電から冷却・IT機器が戻るまでの順序を確認する
    冷却設備、ポンプ、監視系、サーバの復旧条件を、設備・電源・ITの担当者で共有します。冷却が戻るまでの温度変化、IT負荷を制限・停止する判断基準、再開条件を整理し、試験する範囲と担当を決めます。
  3. 更新工事とIT機器の作業を分けて計画する
    設備工事の停止時間、搬入経路、既設配管への接続、稼働中ラックへの影響を確認します。サーバの移設・増設が伴う場合は、作業前の構成記録、配線表示、作業後の通電・疎通確認を工程に組み込みます。
  4. 監視・保守の窓口と契約範囲を明確にする
    チラー・ポンプ・配管・電源設備・IT機器の担当を分け、異常通知を受ける人と一次確認の担当を決めます。exiidaについては監視対象、通知方法、別途契約、将来機能の提供条件をメーカーへ確認し、既存の監視運用とのつなぎ方を整理します。

IT機器側の相談前には「対象サーバの型番と台数」「ラック配置」「増設・移設予定」「施設側の受入条件」「停止可能な時間」を整理しておくと、作業範囲を検討しやすくなります。グリットアーツのデータセンター構築・大規模納品・常駐運用では、IT機器の搬入・ラッキング・通電確認や現地対応について相談を受け付けています。GPUサーバの導入・増設に伴うラック環境や搬入前検証は、GPU・AI基盤の構築と運用受託で案内しています。

現時点で分かっていないこと

計画値として示された性能が、実機・実環境でどこまで再現されるかはまだ確定していません。exiida遠隔監視は別途有償契約が必要ですが、監視範囲や運用負荷の詳細は本文だけでは分かりません。周辺設備を他社品と組み合わせる場合の保守分担も、導入前に確認が必要です。

チラーの仕様・据付・設備保守は、設備メーカーや施工・保守事業者への確認が必要です。IT機器の導入・増設を進める際は、施設側の冷却・電源条件と作業計画をそろえて検討してください。

冷却・電源条件に合わせたIT機器の導入をご検討の方へ

サーバの台数・ラック構成・希望時期・施設側の受入条件をお知らせください。IT機器の搬入・設置・通電確認と、稼働後の現地対応についてご相談いただけます。

出典: PR TIMES