NTT東日本とブロードバンドタワー、IOWN APNで東京―北海道のストレージ統合を実証
公開日:2026年10月28日

3行解説
- NTT東日本とブロードバンドタワーが、東京―北海道間1,000km超でストレージ統合を実証しました。
- 100GbpsのIOWN APN回線で、読み出し速度低下は約3%にとどまりました。
- ランサムウェア対策の遠隔検知・防御も確認し、地方分散の運用像を示しました。
ニュースの概要
NTT東日本とブロードバンドタワーは、次世代通信基盤「IOWN」のオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を使い、東京と北海道のデータセンター間でストレージ統合の共同実証を行ったと発表しました。東京側はブロードバンドタワーの新大手町サイト、北海道側はNTT東日本の札幌東局を使い、100Gbps回線で接続しています。実証では、遠隔拠点に分散したストレージでも、AI学習・推論や映像処理を想定した利用で、同一拠点構成と概ね同等の性能を確認しました。
何が新しいのか
新しい点は、1,000km超の距離をまたいでも、ストレージを1つの基盤として扱える可能性を示したことです。従来は、ストレージは遅延やゆらぎの影響を受けやすいため、同じ拠点内や近接した場所に置く前提が強くありました。今回の実証では、遠隔拠点からの大容量ファイル読み出しで速度低下が約3%にとどまり、時間差も1秒未満でした。さらに、監視サーバを1拠点に集約した状態でも、遠隔拠点のランサムウェア検知・防御が正常に動くことを確認しています。
距離のある拠点を回線でつなぎ、保存場所を意識せず使う構成を示しています。
グリットアーツ編集部の分析
注目すべきは、単に「速い回線を使った」ではなく、読み出し性能の低下が約3%に収まった点です。分散ストレージは、机上ではつながっても、実運用では遅延のばらつきが性能や安定性を崩しやすいのが難点です。今回の結果は、AIや映像のような大容量データ処理で、データを首都圏に集め続ける以外の選択肢を広げます。一方で、これは特定条件下の実証であり、すべての業務で同じ結果になるとは限りません。導入判断では、性能だけでなく、障害時の切り分けや運用責任の分担まで見ないといけません。
日本の現場で考えると
日本では、災害対策や電力事情を理由に、データセンターを複数地域に分けたい企業が増えています。この実証は、そうした分散配置でも、データを都度コピーせずに使える可能性を示します。向いているのは、生成AIの学習データ、映像素材、複数拠点で共有する大容量データです。逆に、拠点間の依存が強く、停止時の影響が大きい基幹業務では、回線断や遅延変動の影響を慎重に見極める必要があります。ランサムウェア対策を一元化できる可能性はありますが、監視の集中が新たな単一障害点にならない設計も重要です。
導入・検討時に確認したいこと
- 自社の主要データで、読み出し速度低下が許容範囲か。
- 遅延とゆらぎが、利用中のアプリケーションに与える影響。
- 拠点間で監視・防御を集約した場合の運用責任と切り分け方法。
- 回線断や拠点障害時に、業務をどう継続するか。
- AI学習、映像処理、バックアップなど、どの用途から適用するか。
現時点で分かっていないこと
今回の結果は特定の構成と条件で得られたもので、他の機器や別の回線条件でも同じ性能になるかは不明です。また、実運用での保守体制、切り替え手順、コスト構造は本文では示されていません。石狩新港サイトを含む今後の全国展開についても、具体的な導入時期や適用範囲はまだ明らかではありません。
遠隔拠点をまたぐストレージ統合は、性能だけでなく運用設計の詰めが重要です。自社のデータセンター分散や保守体制をどう組むべきか、検討段階から整理したい場合はご相談ください。
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出典: PR TIMES
