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リーダー座談会

ビジネスを取り巻く環境 ─ 今と未来。

執行役員 システムインテグレーション事業

松竹 悟

執行役員 カスタマ サービスアンドサポート事業

萩原 知典

“生成AIの成長”─ GPUの特徴を把握し、お客様にとって最適解のサーバを提案

──2024年、IT業界の現状について、どのようにお考えですか?

萩原:ChatGPTに代表される生成AIの成長が、GPUメーカーに追い風になっていることでしょうか。
松竹:GPUが入手できない状況がありますから。生成AI=GPUくらいに密接しています。
萩原:NVIDIAが先行して、AMDやIntelが続いている。ここ数年はこの状況は変わらないと思いますね。グリットアーツもその波に乗らないと(笑)。

──グリットアーツで出荷しているサーバはほとんどGPUを積んでいる…?

松竹:

そんなことはないですね。GPUを搭載するサーバは1台の価格が高くなるので、売上に占める割合は大きくなりますが、台数は汎用サーバに比べると少数です。

それでも今、演算用のGPUを発注すると入荷まで1年待ちだったりします。

──そんなに…?

松竹:

そうこうしている間に新しいGPUが発表されてしまいます(笑)。

萩原:

今、中国もGPUを開発していますが、まだ日本のマーケットには出てこないでしょう。

ただし「GPU」といっても、メーカー毎に使い方が違うので、同じプログラムが動くわけではない。例えば新しいGPUがIntelから出たとしても、NVIDIAのGPUに置き換えてそのまま動くかというと、そうではありません。

GPUの特徴を把握し、お客様にとって最適解のサーバを提案するのが我々の仕事になります。

システムインテグレーション事業部

松竹 悟

──クラウドかオンプレミスか、といった議論がありましたが、現状どうなっていると感じますか。

萩原:

グリットアーツの立場で言うと、オンプレミスの方に進んでいって欲しいという想いはありますが(笑)。

クラウドはコロナ禍に拡大した余剰な部分、“ぜい肉”を落としている状態で、一時期のようにもてはやされていた時期からすると状況は変わってきています。だからといってオンプレミスにお客様が戻ってきているとは言えない。

やはり、用途次第。お客様次第ですね。例えば中小企業だったら、自前でサーバやストレージを抱えるよりも、クラウドを間借りした方がコストは掛からないし運用も楽です。

一方でユーザーが極端に多い大企業の場合は、月額のクラウド利用料金が馬鹿にならなくなっているので、自前でシステムを用意した方が高性能でパフォーマンスの良いサービスを社員に提供できてしまう。そんな考えで、オンプレミスに戻っているユーザー様がいます。

──中小企業のほうが自前で安価なNASを使ってオンプレミスなイメージはありましたが、大企業のほうがクラウド離れは進んでいるのでしょうか?

松竹:費用の問題と運用の問題が考えられますね。クラウドは上手に利用すれば費用は抑えられますが、気軽に増やせる分費用は掛かる傾向があるのではと思いますね。
また、利用していないインスタンスの把握などの手間や運用方法などがありますから。
萩原:それと円安ですね。アメリカの主なクラウドサービスは市場に合わせて値上がりしている。

──会社規模が大きくなるにつれ、クラウドを使っていると費用負担が増していく…?

萩原:

そういうことになります。特に日本の場合は、ローカルで人を雇ってでもオンプレミスのほうがコストパフォーマンス的に良いという考えになります。

それと、クラウドだからといって100%安全ではないということも、“クラウド離れ”の理由に挙げられます。実際、トラブルもありますから。

松竹:

一時はみんなクラウドに行ってしまうのではないかと言われていましたが、結果そうはならなかった。今はクラウドとオンプレミスの利用シーンの棲み分けが出来ている感じがしますね。

ただオンプレミスも、昔みたいに自社にラックを立てて構えるのではなく、データセンターにサーバを預けて自分たちで運用する、という形が増えています。

現在のデータセンターは外部から接続しやすく設計されていて、ネットワーク管理機能が充実しています。それらはコロナ禍にクラウドサービス用で培ったノウハウなのですが、結果的にオンプレミス用コロケーションサービスとして活用されているのが面白いですね。

そういった背景もあり、弊社の高機能レンタルサーバ「パワーグリットラボ」の利用も増えているのだと思います。

“大手ではやらないこと”、“普通ではなやらないこと” 、をやる

──現在 課題に感じていることはありますか?

松竹:

人的リソースが課題ですね。クラウドサービスのエンジニアは多くなっていますが、ハードウェアの知識があるエンジニアは少ない。昔みたいにパソコンの自作が流行っていた頃とは違うので、物理的なエラーを見たことがない人も多い。

クラウドと言っても、実際に動いているのはハードウェアなのに…と思うことがあります(笑)。

萩原:ハードウェアはだんだん減っていくとは思いますが、“0”になることは絶対ないので。
松竹:

ロボットもそうですが、ソフトウェアだけで理解してもサポートができません。ソフトもハードも合わせた理解が必要です。

またメーカーであっても、GPUを例にすると、「NVIDIAはサポートできるけど、AMDはサポートできない」、とは言えません。

エンジニア教育は簡単ではありませんが、一つの側面に偏らず、いろんな方向で学びを促進できる環境作りを大事にしています。それがグリットアーツの強みでもありますね。

──未来に向けた、今後のテーマを教えてください。

萩原:

グリットアーツは今後システムインテグレーションに力を入れたいと考えています。

ただし、いわゆる既成路線に沿ったSIerは目指しません。

例えば、サーバやストレージは決まったメーカーのものしか使用しない「ベンダーロック」された業界では、どうしても大手Sierさんが優位になります。

我々としては、もっと安くて良いものを提案できる思いがあるので、既存概念にとらわれずに新しいことやりたい、チャレンジしたいという会社にとって有益なSierになることを目指したい。

松竹:

そのためには、いろいろなものに目を向けながら、新しいものを取り込んでいかなければなりません。いかに新しいものに興味を持つことができるか。

今のままでいい、ではすぐに取り残されてしまうので、先に先に、どこまで進めるのかが大事になります。

まあ、追い抜くことはないと思いますけど(笑)。

カスタマ サービスアンドサポート事業部

萩原 知典

──いっそ、先頭を走ってしまう?

松竹:

先頭を走る人と並走できれば(笑)。

先頭を走る会社をサポートできればいいと思います。

萩原:

我々のビジネスモデル的にはそうですね。我々は1を1にする、もしくは1を2にする会社なので。

松竹:

大手ではやらないこと、普通ではなやらないことをやる。

決まったものを提案するのではなく、お客さんがやりたいことをインテグレーションする、というところに進んでいきたいと思っています。

これからは古い考えの人たちが居なくなり、レガシーを変えてくれる新しい人たち増えてくるので、その思いに応えられるよう、グリットアーツは進化していきたいです。