
保守の本質は「どれだけ手厚いか」ではなく、「止まったときの影響に見合っているか」です。
すべての機器を最高レベルの保守にしていませんか。
保守契約を見直すと、基幹システムのサーバも、ほとんど使っていない検証用の機器も、同じ「24時間365日・4時間駆けつけ」になっていることがよくあります。安心ではありますが、費用は膨らみます。反対に、すべてを最低限にすれば、止まってはいけない機器が止まります。今回は、機器の重要度に合わせて保守レベルを分ける考え方をご紹介します。
1. 保守は「救急外来」と「一般外来」の使い分け
夜中に高熱が出たら救急外来に行きますが、軽い肩こりで救急車は呼びません。翌朝、近くのクリニックに行けば十分です。保守も同じで、止まったら業務が止まる機器と、数日止まっても困らない機器では、必要な駆けつけの速さがまったく違います。
2. まず機器を「止まったときの影響」で分ける
| 重要度 | 止まったときの影響 | 例 |
|---|---|---|
| 最重要 | すぐに業務やサービスが止まる。売上や顧客に直結する | 基幹システム、サービス提供用のサーバ、冗長化されていない機器 |
| 重要 | 業務に支障は出るが、翌営業日までなら耐えられる | 社内システム、冗長構成の片側 |
| 一般 | 数日止まっても代替手段がある | 検証用の機器、予備機、端末 |
ポイントは、機器の種類ではなく、止まったときの影響で分けることです。同じ型番のサーバでも、冗長構成の片側なのか、1台で動いているのかで重要度は変わります。
3. 保守レベルの選択肢を知る
保守のレベルは、「受付時間」「現地への到着」「代替部材の持ち方」「報告」の組み合わせでできています。グリットアーツの第三者保守では、次のような区分を用意しています。
| サービス区分 | 受付時間 | 現地到着 | 代替部材 |
|---|---|---|---|
| 24×365 オンサイト | 24時間365日 | 目標4時間以内(ベストエフォート) | 専用在庫を事前確保 |
| 翌営業日オンサイト | 平日 9:00–18:00 | 翌営業日 | 共用在庫から引き当て |
| 先出しセンドバック | 平日 9:00–18:00 | 代替機を先行発送 | 発送後、返却機を回収 |
| リモート技術サポート | 平日 9:00–18:00 | — | — |
| スポット対応 | 都度受付 | 個別調整 | 都度調達 |
※24×365オンサイトの現地到着はベストエフォートです。設置場所・交通事情・気象条件により変動します。
4. 重要度と保守レベルを組み合わせる
たとえば、最重要の機器は24×365オンサイト、重要な機器は翌営業日オンサイト、一般の機器は先出しセンドバックやスポット対応、という組み合わせが考えられます。冗長構成になっている機器は、片側が止まってもサービスは続くため、1段階下のレベルでも十分な場合があります。
5. 分けても、窓口は一本にする
保守レベルを機器ごとに分けると、契約や連絡先が増えて管理が複雑になるのでは、と心配されるかもしれません。大切なのは、レベルを分けても窓口は一本にすることです。複数のメーカー、複数の拠点が混在する環境でも、拠点ごと・機器ごとに区分を分けたうえで、問い合わせ先は一つにできます。
見直しのタイミング
- システムの用途が変わったとき:本番から検証用に格下げされた機器は、保守レベルも下げられます
- 冗長構成を変えたとき:1台構成から冗長構成にしたら、レベルを見直す余地があります
- メーカー保守が終わるとき:契約を切り替えるこのタイミングは、全体を見直す好機です
よくある質問
一部の機器だけ保守レベルを上げることはできますか?
できます。機器ごと・拠点ごとに区分を分けて設計できます。
到着時間を保証してもらうことはできますか?
保証が必要な場合は、対象拠点を確認したうえで個別に設計します。対応時間は機種や部材の市場性によっても異なるため、契約前に対象機器を確認し、実現可能な条件のみをご提示します。
まとめ
保守設計の基本は、すべてを手厚くすることではなく、止まったときの影響に見合ったレベルを選ぶことです。重要度で分け、レベルを割り当て、窓口は一本に。それだけで、安心と費用のバランスは大きく変わります。





